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イベントレポート|
天野祐子 個展
『We hold the shells and discuss.』
@yuko__amano
お越しいただいた皆様ありがとうございました。天野祐子さんご自身で撮影された写真を投稿いたします。
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今回大阪初となる個展として、
2017-2018 年パリ滞在中の作品や
VOCA2023(上野の森美術館)出展作品、
新作も含めた6作品を展示。
誰かにとって当たり前にそこにあるものの美しさ。目を背けたくなるような問題、答えのない疑問。世界の弱さ、自然や生命の力強さ。運命と偶然。希望と後悔。
簡単に、明確には捉えがたい複雑な事象を
繊細に見つめ続ける天野さんのまなざしを
そっとなぞる体験がそこにありました。
透明な水平線を眺め歩みを進めるような、
あるいは手からこぼれ落ちた感情一つ一つをまた拾い集めるような、、
なんとも言葉にしがたい感じたことのない気持ちを抱きながら、ゆっくりとじっくりと向き合いたくなる作品ばかりでした。
(数時間ご覧になっていた方もいらっしゃいました)
場所やものごと、人々との関わりをとても大切にされ、
期間中もご都合の許す限り北加賀屋に滞在くださった天野さん。
天野さんとの時間が
穏やかに、ふしぎなほど自然に
7月の千鳥文化に刻まれるようでした.
ありがとうございました.
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天野祐子 Yuko Amano
1985年生まれ。写真家。
武蔵野美術大学映像学科卒業。武蔵野美術大学大学院デザイン専攻写真コース修了。
第3回写真「1_WALL」入選。
「VOCA展 2023」や2020年「梅田哲也イン別府 『O滞』」に参加。
近年の個展として2024年「友人の出産とモンゴルの姉妹、私の畑」second2., 東京など。
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(ARTIST STATEMENTより)
私が記録する全てのものは、古い洞窟に描かれたフクロウや、数百の牛や馬たちであり、今や剥製や毛皮になったニホンオオカミの在りし日の姿である。15万年前の火山であり、足下の石ころが岩であった頃の姿である。そして、今、川を下る一枚の葉の行く末であり、先程見た一匹のアリの明日の姿である。
私は、ある一つの事象に付与された意味が、長い時間または一瞬にして変化するということに強い関心を持っています。そしてそれがどのようにして記憶として定着されるのか、または忘れ去られていくのかということを、時間的尺度を持たない写真を使用し実現させることに、強い制作意欲を感じます。
それは、自らの立つ場所から見えるものすべての名前を忘れ、また新しい名前を付けていくような行為であり、その過程は私に、人類が意識を持ち得てから今まで、脈々と続けてきた世界との営みの中にいるという感覚を思い起こさせるのです。 今を見ることは過去と未来を同時に見ることであり、すべての写真が何百年後かの未来への資料になり得る可能性を孕んでいるということを、私は常にポジティブに捉えています。嘘か真かではなく、見えるものが全てです。
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