髙野 千聖|Chisato Takano
1998年生まれ。大阪出身・在住。2017年大阪府立港南造形高等学校卒業。2021年近畿大学文芸学部芸術学科造形芸術専攻修了。都市が生み出した廃材、建築資材、既製品などを用いて、インスタレーションや立体作品を制作しています。私が使用する素材には実用的な用途があります。その素材から形や意味を剥ぎ取り、解体し、新たなエネルギーを引き出し、何かになりつつある状態を作品としています。かつ、素材そのものではなく、その素材同士が複雑に絡み合い、新たな関係を結ぶ、多層的なレイヤーがもつれた状態それを世界の暗喩として提示しようと試みています。
髙野 千聖 個展「Cycle」
会期|2023年4月8日(土)〜2023年5月7日(日) ※火・水曜休館
時間|11:30〜18:00
会場|千鳥文化ホール(〒599-0011大阪市住之江区北加賀屋5-2-28)
入場料|無料
協力|千島土地株式会社(古材バンク)
デザイン|YUKA
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この個展では、“物質の循環”をテーマに、物質のあり方・価値を問い直す新作インスタレーションを発表しました。
開催場所である千鳥文化ホールは大阪の北加賀屋に位置しています。
時を遡ると、北加賀屋は大正から昭和にかけて木津川沿いにあった造船所を中心に、下請け工場や大型倉庫、そこに働くひとびとの民家が建ち、大阪の産業を支えるまちとして機能していました。その後、時が進むにつれ時代が変化し、造船所が撤退、その影響を受け人がまちから去り、空き物件や空き倉庫などが増え、まちが衰退しました。現在では数々の空き物件を再利用・改修しアトリエ・作品保管場所として違った形で使用され、北加賀屋はアートのまちとして再生しています。千鳥文化もまた築60年の空き物件を改修し新たな交流拠点として、時をこえて変貌しました。
空き家と化した民家を解体・改修することで生まれる古材などの廃棄物はまちの衰退・再生=まちの変化に伴った産物とも言えます。
人が作った物(ここでは空き家のことを指します)が半壊し、元の現状を留めていないモノ(古材)へと形状を変える。北加賀屋で暮らしていたひとびとの記憶が残った古材・廃棄物を再利用し作品として姿を変えることで、終わりのないモノの生涯=”物質の循環”を体現します。
この世界は変化のない静止した世界ではなく、常に変化し、生々流転の中、私たちが生きていることを再認識することを試みます。
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